いつのころからか、ひとりでふらりと外で飲み食いをするようになった。お店のひとに顔を憶えてもらえた店もいくつかできた。
銀髪ご夫婦のお店でゆるむ宵もあれば、若い大将の元気にビールをあおる夜もある。でもいちばん自分が溶け込んで安心して身を任せられるのは、女性が切り盛りするお店が多いことにあるとき気づいた。やっぱり同性の気安さからかしら。
自然と足が向いてしまう「おんなごはん」には、こちらがどんな調子であっても、なんとなく通じているであろう気配が、ほどよい心地よさとなって伝わってくる。
ひとりで心地よいお店は、だれかと一緒でも心地いい。女性店主がつくるおいしいごはんとお酒をしみじみ味わいながら、そうだ、こんどはあのひとをここに連れてこよう。思いつくだけで、ちょっと誇らしい気持ちになる「おんなごはん」。今宵もあのひとに会いに、店ののれんをくぐれば、
「いらっしゃいませ」
温かくて粋で凛々しい、いつもの笑顔で迎えてくれる。
そんな素敵な女性たちが切り盛りする「おんなごはん」の物語を綴っていきたいと思います。
