Vita-min(ビタミン)
題字:クレレナ
看板ねこさん

今宵もあのひとに会いに、店ののれんをくぐれば、「いらっしゃいませ」。
温かくて粋で凛々しい、いつもの笑顔で迎えてくれる、そんな素敵な女性たちが切り盛りする「おんなごはん」の物語を綴っていきたいと思います。

「おんなごはん」第4回 
魚は大分、野菜は東北・大阪から。
素材の声にみみをすませたくなる引き算の料理

外柔内剛の味を生みだすもの

ぶりんぶりんに引き締まった身がたまらない「コチのちり蒸し」(1600円)

ぶりんぶりんに引き締まった身がたまらない「コチのちり蒸し」(1600円)



 大阪から東京に移転するきっかけは、2004年に訪れた。客がどんどん減っていくのだ。自分たちの店だけでなく、船場界隈から人が消えてしまったかのようだ。繊維の問屋街として栄えた街・船場からは活気が失われつつあった。
 外に目を向けると、東京はITバブルに沸き、都心の街は人で賑わっていた。
「東京で勝負してみようか……」
 秀嗣さんのつぶやきに、東京の店舗家賃の高さを知るえっちゃんは最初、「おいちゃん、気がふれたんちゃうの?」と眉をひそめたが、思ったほど家賃が高くないことを知り、賛成にまわった。
 大阪の店と同じ8坪程度という条件で見てまわり、いまの六本木の物件にたどりつく。当時は六本木ヒルズができた翌年。ヒルズ周辺は人であふれていたが、店舗は少しはずれた閑静なエリアにある。そんな「微妙にはずれた地域の落ち着き」がふたりとも気に入って、ここに決めた。