鍋を見つめる背中が語っているようで。

男は背中で語るというけれど、私が釘づけになったのは女性の話。料理人である。
六本木交差点のきらびやかな賑わいを背に、溜池方向のゆるやかな坂を下って数分も歩くと、つい先ほどまでの喧噪はかき消える。細い路地を入ったところに、その店はある。
「さかなのさけ」
回文めいた名前は、「酒の肴」をひっくり返して「肴の酒」。肴は「魚」ともかけている。その名のとおり、「さかなのさけ」は、西(大分と大阪)の白身魚と、各地の小さな酒蔵が醸す日本酒を中心に、そのときどきの旬を味わう店だ。
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